映画『正体』は、
染井為人さんの同名小説を原作としたサスペンス映画。
2022年には亀梨和也さん主演で
WOWOWの連続ドラマWとしても放送されています。
ドラマ版では全4話で構成されていましたが、
映画としても制作されることになりました。
この映画は実際のニュースや事件から
インスピレーションを受けており、
現実とフィクションが巧みに融合した作品です。
この記事では、映画『正体』の概要や
その背後にある実話の影響、
ストーリーの詳細についてご紹介します。
映画『正体』で参考にされた実際の事件
脱獄逃亡事件
2018年に樋田淳也容疑者が刑務所から脱走し、
自転車でサイクリングしながら
日本各地を逃亡した事件
があります。
この事件が解決したあと、
逃亡生活の中で容疑者が
普通の人々と交わりながら逃亡する様子が
大きな注目を集めました。
脱獄した容疑者は警察から追われる中、
300キロ近く自転車で逃亡し続け、
行く先々で記念写真を撮ったりする
ということまでしていました。
映画では、
このような社会との接点を持ちながら
生き延びる姿がリアルに描かれています。
この脱獄逃亡事件の報道を
実際に『正体』の原作者が見ていたため、
原作小説執筆の動機になっていたようですね。
原作者の実際の体験もストーリーの中で参考になっている
『正体』の小説を書いた原作者は、
自分の体験をストーリーの中に
盛り込んでいました。
原作ストーリーの中で
冤罪の逃亡犯の主人公は、
- 飯場
- 介護施設
という職場で働いています。
(飯場(はんば)とは、
日本において鉱山労働者や
大規模な土木工事や建築現場での作業員用の
給食および宿泊施設のこと。)
この職場の環境は
かなりリアルに描かれていますが、
その理由は
原作者の染井為人さん自身が
実際に学生時代に飯場と介護施設で
アルバイトをしていたことがあったため、
職場環境の描写は
リアリティーがかなりある描かれ方になりました。
『正体』のストーリーでも主人公が
これらの職場を選んで潜伏することにしたのは、
原作者・染井為人さんが
逃亡者が潜り込むとしたら、
どうしてもブラックな職場になるんじゃないか
という考察からによるものでした。
参考:
原作者・染井為人が語る映画『正体』異色の経歴を持つ作家の“正体”とは
『正体』は日本の司法システムの闇を描いた作品でもある
日本には死刑冤罪になっている事件が多くあります。
容疑者が潔白だったとしても、
1度逮捕されて有罪判決を食らってしまうと、
その後改めて無実を
証明することはかなり難しいです。
無実でありながらも有罪判決を受けた容疑者は
『凶悪事件の犯人』という前提で
話が進んでいきます。
一度逮捕してしまった警察側にもメンツがあり、
『警察が誤認逮捕してしまった』という事実は
警察からしても恥さらしとなってしまうので
できれば隠したいこと。
『容疑者は無実かもしれない』と思いつつも、
引くに引けない状態になってしまいます。
これは
"日本の司法システムの闇"
とも言えるところで、
この現状に
『正体』の原作者も執筆していて
辛くなってしまったようです。
まとめ
映画『正体』は、フィクションでありながら、
現実の事件や社会問題から
インスピレーションを受けて作られた作品です。
そのストーリーは
緊張感あふれるサスペンスとして楽しめるだけでなく、
視聴者にも色々考えさせられる内容となっています。
こうして実際の事件を知ることで、
映画の背景やテーマがさらに深く理解できると思います。
まだ『正体』を観ていない方も、
ぜひ一度、観てみてください。