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『国宝』は実話ではないが元ネタのモデル候補は2人存在した

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『国宝』は実話ではないが元ネタのモデル候補は2人存在した サムネ

映画『国宝』は、公開直後から

「これって実話なの?」「モデルになった歌舞伎役者がいるのでは?」

と大きな話題になりました。

『国宝』では、任侠の家に生まれた主人公が歌舞伎界へ飛び込み、女形として頂点へ上り詰めていく壮絶な人生が描かれています。

あまりにもリアルな描写から、“実在の人物を描いた作品”だと思った人も多かったようです。

しかし結論から言うと、『国宝』は実話ではありません。

実話ではありませんが、実在する歌舞伎役者や歌舞伎界の歴史が強く反映されています。

この記事では、

  • 『国宝』は実話なのか
  • モデルと言われる人物
  • なぜリアルに感じるのか
  • 歌舞伎界との関係

をわかりやすく解説します。

『国宝』は実話ではない理由

まず前提として、映画『国宝』はフィクション作品です。

原作は吉田修一による同名小説で、李相日監督も「特定のモデルはいない」と説明しています。

つまり、「実在の人物を描いた実話映画」ではありません。

ただし、完全な空想の物語というわけでもなく、実際の歌舞伎界の空気感や歴史、人間関係をベースに作られています。

そのため、『国宝』を見た多くの観客が「本当にあった話みたい」と感じる作品になっています。

『国宝』の主人公のモデル候補1 : 坂東玉三郎

『国宝』で最も多く名前が挙がっているモデル候補が、坂東玉三郎です。

理由としては、

  • 生年が近い
  • 女形として頂点へ到達
  • 歌舞伎名門出身ではない
  • 努力で地位を築いた

などの共通点があるためです。

特に、「血筋だけではない存在」として頂点へ上がった部分が重なると言われています。

ただし、実際には異なる点もかなりあります。

例えば、

  • 喜久雄は任侠出身
  • 玉三郎は料亭の家系
  • 入門経緯も違う

など、経歴そのものは一致していません。

そのため、「完全なモデル」というより、

「複数の歌舞伎役者の要素を混ぜた創作キャラクター」と見る方が自然です。

小野川万菊のモデル候補2 : 中村歌右衛門

劇中に登場する名女形・小野川万菊については、6代目中村歌右衛門がモデルではないかとも言われています。

特に、

  • 父の死後に苦境へ立たされる
  • 周囲との対立
  • 女形としての圧倒的存在感

などに共通点が見られるためです。

『国宝』では、このように実在する歌舞伎界の歴史や人物像がうまく混ぜ込まれているため、“まるで実話の出来事のようだ”と思ってしまう作品になっています。

『国宝』の物語を簡単に解説

任侠の家に生まれた喜久雄

物語は1960年代から始まります。

主人公・立花喜久雄は、長崎の任侠一家に生まれました。

しかし15歳の時、父を抗争で失います。

天涯孤独となった喜久雄は、上方歌舞伎の名門・花井半二郎に才能を見出され、歌舞伎の世界へ入ることになります。

ここから、任侠の血を引く少年が“芸の世界”へ人生を捧げていく物語が始まります。

御曹司・俊介との出会い

花井家には、実子である俊介がいました。

俊介はいわば“歌舞伎界のサラブレッド”です。

一方の喜久雄は、外の世界から来た存在でした。

2人はライバルとして競い合いながらも、互いの才能を認め合っていきます。

この、

  • 血筋のある者
  • 才能で這い上がる者

の対比が、『国宝』の大きなテーマになっています。

喜久雄が女形として才能を開花

修行時代を経て、喜久雄は女形として頭角を現していきます。

ただ、歌舞伎界は家柄を重んじる特殊な世界です。

そのため、外部出身の喜久雄は常に“よそ者”として見られる部分がありました。

ここが『国宝』に強いリアリティを与えているとも言われています。

実際の歌舞伎界でも、

  • 名門の血筋
  • 襲名
  • 家系

は非常に重要視されるためです。

「曾根崎心中」で関係が変化

物語の大きな転換点となるのが、「曾根崎心中」での共演です。

喜久雄は徳兵衛。俊介はお初を演じます。

ここでは、単なる共演ではなく、2人の人生そのものを象徴する場面として描かれています。

特に終盤では、俊介が自身の限界を悟り、役者人生から離れていく流れが大きな見どころになっています。

芸に人生を捧げた者同士だからこそ生まれる、非常にリアルな描かれている場面です。

喜久雄が最終的に人間国宝へ

その後、喜久雄は時代を代表する大女形へと成長していきます。

しかし、頂点へ近づくほど孤独も深まっていきました。

親友との別れ。芸へ人生を捧げた代償。そして、芸と人生の境界が消えていく感覚。

作品終盤では、そうした精神世界まで描かれています。

そのため『国宝』は、「歌舞伎映画」というより、「芸に人生を奪われた人間の物語」として高く評価されているようです。

なぜ『国宝』は実話と思ってしまうほどリアルなのか

吉田修一の3年間に渡る徹底取材

『国宝』が実話と錯覚してしまう最大の理由は、原作者・吉田修一の圧倒的な取材量です。

吉田修一は、約3年間にわたり歌舞伎の黒衣として楽屋へ入り、実際の歌舞伎界を取材していました。

この徹底的な取材のため、

  • 楽屋の空気
  • 舞台裏
  • あいさつ
  • 所作
  • 人間関係

などが非常にリアルに描かれています。

『国宝』は、歌舞伎の世界の単なる想像だけで作られた作品ではないため、現実味が強くなっているわけです。

実在の劇場で撮影されている

映画では、

  • 南座
  • 出石永楽館

など、実在する歴史的劇場でも撮影が行われています。

歌舞伎界の実話エピソードが混ざっている

さらに『国宝』では、実際の歌舞伎界で語られてきたエピソードも反映されていると言われています。

例えば、

  • 血筋問題
  • 隠し子報道
  • 女形の苦悩
  • 声変わり問題
  • 襲名文化

などです。

つまり『国宝』は、「特定の1人の実話」ではなく、

「歌舞伎界全体の歴史や文化を非常にリアルに再構成した物語」とも言える作品になっています。

まとめ

映画『国宝』は、厳密には実話ではありません。

しかし、

  • 徹底した取材
  • 実在の劇場
  • 歌舞伎界の歴史
  • 実在役者との共通点

が重なっているため、“実話のようなリアリティ”を持つ作品になっています。

特に、

  • 坂東玉三郎
  • 中村歌右衛門

などを連想する人が多いことから、モデル考察も大きな話題になりました。

ただ、『国宝』の本質は、「誰がモデルか」だけではなく、

“芸に人生を捧げた人間の美しさと狂気”を描いた点にありました。

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