映画『葛城事件』は、
無差別殺傷事件を起こした加害者本人ではなく、
その家族の崩壊を描いた衝撃作です。
この記事では、
- 映画のモデルになった4つの実話事件の内容
- 映画『葛城事件』と実話との違い
を主に解説していきます。
映画『葛城事件』は実話を元にした映画?
映画『葛城事件』は
物語の中心となる葛城家や、
次男・稔の人物像は架空のものです。
ただし、『葛城事件』には
実際に起きた4つの無差別殺傷事件がモデルとして取り入れられています。
『葛城事件』は
赤堀雅秋 さんが監督・脚本を務めた作品で、
2013年に上演された同名舞台をもとに、
2016年に映画化されました。
映画『葛城事件』のモデルとなった主な事件
『葛城事件』は、
特定の1つの事件をそのまま描いた作品ではなく、
以下の4つの事件がモデルになったと考えられています。
| 事件名 | 発生年 | 概要 |
|---|---|---|
| 附属池田小事件 | 2001年 | 小学校に侵入し、児童8人が殺害された事件 |
| 土浦連続殺傷事件 | 2008年 | 「死刑になりたかった」と供述した無差別殺傷事件 |
| 秋葉原通り魔事件 | 2008年 | 秋葉原で7人が死亡した通り魔事件 |
| 池袋通り魔殺人事件 | 1999年 | 東京・池袋で発生した無差別殺傷事件 |
映画『葛城事件』なぜ実話と言われるのか
『葛城事件』が実話と受け止められる理由は、
現実の事件と共通する部分が多いためです。
獄中結婚
映画では、
死刑囚となった葛城稔と支援者の女性・順子が結婚します。
これは、
附属池田小事件の犯人・宅間守にもあった実際の出来事を思わせます。
早期の死刑執行を望む描写
稔は死刑執行を望む姿勢を見せます。
これも、
宅間守の言動と重なる部分があります。
映画『葛城事件』でモデルになった4つの無差別殺傷事件の詳細
1. 附属池田小事件(2001年6月8日)
大阪教育大学附属池田小学校に侵入した男(宅間守)が、
出刃包丁で児童8人を殺害、児童および教職員15人に重軽傷を負わせた無差別殺傷事件です。
事件前日(2001年6月7日)
| 時刻 | 出来事 |
|---|---|
| 21時45分頃 | 犯人宅間守は104番の電話番号案内で附属池田小の電話番号を聞き、メモする |
| 深夜 | 借金の申し込みを断られたことをきっかけに、犯行の決意を固める |
事件当日(2001年6月8日)
| 時刻 | 出来事 |
|---|---|
| 8時頃 | 起床 |
| 9時30分頃 | アパートを出発(出火工作を試みるが失敗) |
| 9時40分頃 | 乗用車で駐車場から猛スピードで出発 |
| 10時前 | 刃物店を訪れ、出刃包丁(刃渡り約15.8cm)を7480円で購入 |
| 10時過ぎ | 自動車専用門から校内に侵入 |
| 10時10分過ぎ | 2年南組へ侵入。児童5名を殺害 |
| 10時15分頃 | 2年西組へ移動。児童3名を襲撃(うち1名死亡) |
| 10時18分 | 2年西組の担任教員が110番通報 |
| 10時15分過ぎ | 2年東組へ侵入。児童を襲撃 |
| 10時20分頃 | 1年南組へ侵入。児童3名を襲撃(うち1名死亡) |
| 10時20分頃 | 2年南組の担任教員と副校長により現行犯逮捕 |
被害状況
児童8名死亡、児童13名・教師2名の重軽傷の被害がでました。
犯人の結末
2004年9月14日に死刑が執行されました。
2. 土浦連続殺傷事件(2008年3月)
茨城県土浦市で発生した通り魔事件です。
犯人・金川真大(当時24歳)が「死刑になりたかったから」と9人を殺傷しました。
事件前の準備(2008年1月〜3月)
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 1月16日 | コンビニのアルバイトを辞める |
| 数日後 | 近くのホームセンターで文化包丁を、ネットオークションでサバイバルナイフを、デパートでリュックサックを購入 |
| 2月頃 | 逃走資金40万円を用意 |
第一の事件(2008年3月19日)
| 時刻 | 出来事 |
|---|---|
| 朝 | 妹の殺害や学校襲撃を計画するが断念 |
| 昼過ぎ | 住宅街で民家のインターホンを押し、出てきた72歳男性に自転車の空気入れを借りた |
| その直後 | 背中を向けた隙に首筋に包丁を突き刺し、殺害 |
| 犯行後 | 自転車を放置し徒歩で帰宅後、電車で東京へ逃走 |
逃亡と挑発(2008年3月20日〜22日)
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 3月21日 | 家族へのメールを警察が確認し、指名手配される |
| 3月22日 | 荒川沖駅周辺を徘徊するが実行を断念。警察に電話し「早く捕まえてごらん」と挑発 |
| 逃亡中 | 秋葉原の理髪店で丸坊主にし、ビジネスホテルにチェックイン。新作ゲームをプレイして過ごす |
第二の事件(2008年3月23日)
| 時刻 | 出来事 |
|---|---|
| 午前11時過ぎ | JR荒川沖駅で「人が多すぎず少なすぎない」場所として襲撃を実行 |
| 犯行中 | 西口から東口にかけて手当たり次第に通行人の首をサバイバルナイフで狙って襲撃 |
| 直後 | 阿見町の27歳男性が死亡、警察官を含む7人が負傷 |
| 犯行後 | 体力を消耗したため追加の襲撃を止め、近くの交番から自ら通報し逮捕 |
裁判と結末
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2009年5月1日 | 水戸地裁にて初公判 |
| 2009年12月18日 | 水戸地裁で死刑判決 |
| 2010年1月5日 | 被告が控訴を取り下げ、死刑判決が確定 |
| 2013年2月21日 | 東京拘置所にて死刑執行(享年29歳) |
3. 秋葉原通り魔事件(2008年6月8日)
東京都千代田区秋葉原の歩行者天国で発生した無差別殺傷事件です。
犯人・加藤智大(当時25歳)がトラックで歩行者をはねた後、ダガーナイフで通行人を刺しました。
事件当日(2008年6月8日)
| 時刻 | 出来事 |
|---|---|
| 12時30分過ぎ | 加藤智大が2トントラックで秋葉原の歩行者天国(神田明神通りと中央通りの交差点)に突入 |
| 12時30分過ぎ | 赤信号を無視して交差点に突入し、歩行者5人をはねる |
| その直後 | 対向車線で信号待ちをしていたタクシーと接触して停車 |
| 直後 | 車を降り、被害者の救護に集まった通行人・警察官ら17人をダガーナイフで次々と殺傷 |
| 12時36分 | 東京消防庁が最初の119番通報を受信 |
| 12時43分 | 最初の救急隊が現場に到着 |
| 12時55分 | 日本医科大学付属病院のDMATチームが現場に到着 |
| 13時8分 | 東京医科大学病院のDMATチームが到着 |
| その後まもなく | 駆けつけた警視庁万世橋警察署秋葉原交番の警察官が加藤を追跡 |
| 最後 | 拳銃の銃口を向けて威嚇した後、現行犯逮捕 |
被害状況
7人死亡、10人重軽傷の被害がでました。
犯人の結末
2022年7月26日に死刑が執行されました。
4. 池袋通り魔殺人事件(1999年9月8日)
東京都豊島区東池袋で発生した通り魔事件です。
犯人・造田博(当時23歳)が包丁と金槌で通行人を無差別に襲いました。
事件当日(1999年9月8日)
| 時刻 | 出来事 |
|---|---|
| 11時35分〜40分頃 | 犯人・造田博がサンシャインシティの地下通路からエスカレーターで東急ハンズ正面入り口前に出現 |
| 11時35分頃 | 「アー!むかついた。ぶっ殺す」と大声で叫びながら、サンシャインシティのエスカレーターを上ってきた夫婦2人を包丁と金槌で襲い、66歳女性を殺害 |
| 直後 | 東急ハンズ前に差し掛かった夫婦2人のうち29歳女性を包丁で刺し、殺害 |
| その後 | 60階通りを池袋駅方向に走りながら、私立高校の1年生4人グループのうち3人を切りつけ、さらに2人に切りつける |
| 直後 | 池袋駅前で通行人たちに取り押さえられ、現行犯逮捕される |
被害状況
2人死亡、6人が重軽傷を負いました。
犯人の結末
2007年に死刑が確定しました。
映画『葛城事件』と実話の違い
| 項目 | 実際の事件 | 映画『葛城事件』 |
|---|---|---|
| 犯人像 | 宅間守は前科多数で攻撃的な性格だったと言われている | 稔は内向的で引きこもり気味の青年として描かれます |
| 母親 | 放任的だったとされる | 息子に強く執着する母親として描写 |
| 父親 | 実際の人物像とは異なる | 家父長的で威圧的な存在 |
| モデル | 1つの事件ではない | 複数事件を組み合わせた創作 |
| 物語の焦点 | 事件の経緯が中心 | 加害者家族の崩壊が中心 |
『葛城事件』は実話として見るべき?
映画『葛城事件』は、
事実を忠実に再現した作品ではありません。
しかし、
現実の事件から着想を得ていることは確かなため、
「実話から着想を得ているフィクション作品」
として見た方がいいです。
映画『葛城事件』はフィクションでありながら非常にリアルな説得力がある作品なので、
- 「実際にありそう」
- 「現実の事件を思い出す」
- 「実話以上に生々しい」
と感じる人が多い作品です。
まとめと人気の実話解説記事
- 『葛城事件』は完全な実話ではなく、実際の事件をもとにしたフィクション
- 主なモチーフは附属池田小事件や秋葉原通り魔事件など
- モデルの事件の犯人は全員死刑になっている
- 葛城家や葛城稔は架空の人物
- 獄中結婚や早期の死刑執行など、実際の事件と重なる要素がある
- 物語の中心は事件そのものではなく、加害者家族の崩壊