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【ドゥランダル作戦】実話元ネタの3つのテロ事件と映画との違いを解説

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【ドゥランダル作戦】実話元ネタの3つのテロ事件と映画との違いを解説

映画『ドゥランダル作戦』は、極秘任務を帯びたインドの潜入工作員がパキスタン・カラチの暗黒街に深く潜り込み、

国家を揺るがすテロの連鎖を断ち切ろうとする極限のスパイ・アクション・スリラーです。

この記事では、

  • 『ドゥランダル作戦』は実話を元ネタにした作品なのか
  • 劇中に描かれた実際のテロ事件の時系列
  • 映画と実話の主な違い
  • 監督・キャストの舞台裏エピソード
  • 実在モデルの遺族から上がった批判の声

こちらを解説していきます。

『ドゥランダル作戦』は実話を元ネタにした作品

結論から言うと、『ドゥランダル作戦』は実際に起きた複数のテロ事件やパキスタンのギャング抗争を素材にした作品です。

ただし、「ドゥランダル作戦」という極秘作戦そのものは実在しません。

  • 1999年のカンダハールハイジャック(インディアン航空814便乗っ取り事件)
  • 2008年のムンバイ同時多発テロ
  • 2016年のデモネタイゼーション(高額紙幣廃止)

など、インドとパキスタンの間で実際に起きた出来事を骨格に使っているのです。

劇中に登場するギャング首領レーマーン・ダカイトや、対テロ警察官チャウダリー・アスラムさんも実在した人物がモデルになっています。

監督は『URIサージカル・ストライク』(2019年)で一躍注目されたアディティヤ・ダールさんです。

インドでは2025年12月5日に二部作として公開され爆発的な興行収入を記録。

日本では2026年7月10日に、二部作を一本にまとめた約205分の作品として配給会社ツインによって劇場公開されました。

映画『ドゥランダル作戦』の作品概要

項目内容
タイトルドゥランダル作戦(DHURANDHAR)
公開年(インド)2025年12月5日
公開年(日本)2026年7月10日
監督アディティヤ・ダール
製作JioStudios・B62 Studios
ジャンルスパイ・アクション・スリラー(二部作)
主なモデル事件カンダハールハイジャック、ムンバイ同時多発テロなど

主人公ハムザ(本名:ジャスキラト・シン・ランギ)は、妹を殺害した有力者を報復殺害して死刑囚となった人物です。

インド国家安全保障局のアジャイ・サニャルさんに偽装救出され、

パキスタン内に潜り込む工作員に仕立てられるというのが、映画の出発点となっています。

映画『ドゥランダル作戦』の元ネタになった実話の時系列

映画が参照した実際の歴史的出来事を、時系列順に解説していきます。

1999年12月:カンダハールハイジャック事件

インディアン航空814便がネパール・カトマンズを飛び立った直後にハイジャックされ、最終的にアフガニスタンのカンダハールに着陸しました。

インド政府は人質解放と引き換えに、収監中の過激派テロリストを釈放するという苦渋の決断を下します。

釈放された人物の一人が、後に劇中でも描かれるザフール・ミストリーさんです。

この「国家がテロに屈した」という出来事が、映画では対テロ極秘作戦を立ち上げるきっかけとして描かれています。

2001年12月:インド国会議事堂襲撃事件

イスラム過激派組織ジャイシュ=エ=ムハンマド(JeM)の関与が指摘される武装集団が、インド国会議事堂に乱入しました。

警備員5人を含む計9人が犠牲となったこの事件は、インドとパキスタンの緊張関係を極限まで高める転換点となったのです。

2008年11月:ムンバイ同時多発テロ(26/11)

2008年11月26日、武装集団10人がムンバイの複数の施設を同時多発的に攻撃し、160人以上が犠牲となりました。

ラシュカレ・タイバという組織の関与が確認されており、インドはパキスタンとの外交関係を一時的に凍結させます。

映画では、主人公ハムザさんがテロ情報を事前にインド側へ送ったものの、

ISI工作員に日付を改ざんされてテロを防げなかったという悲劇として描かれています。

2009年8月:ギャング首領レーマーン・ダカイトの死

カラチのリヤリ地区を支配していたギャング首領、サルダール・アブドゥル・レーマーン・バローチさん(通称レーマーン・ダカイト)が、警察との銃撃戦で射殺されました。

このとき、わずか29歳。

映画では主人公がパキスタン国内での地位を固めるための「戦略的排除」として関与した出来事として描かれています。

2014年1月:チャウダリー・アスラムさんの殉職

カラチ警察の対テロ指揮官として知られるチャウダリー・アスラムさんが、

リヤリ高速道路上でパキスタン・タリバン(TTP)による車両爆破テロに遭い、命を落としました。

9回もの暗殺未遂を乗り越えてきたアスラムさんは、「パキスタンの反テロの英雄」と呼ばれていた人物でした。

2016年11月:高額紙幣廃止(デモネタイゼーション)

インドのモディ首相が、国内の不正資金対策と偽札根絶を目的として、500ルピーと1000ルピー札の廃止を突然発表しました。

一夜にして高額紙幣が使えなくなったこの政策は、国民生活に大きな混乱をもたらす一方、

偽札流通の遮断にも一定の効果があったとされています。

2022年3月:ザフール・ミストリーさんの暗殺

カンダハールハイジャックの実行犯の一人ザフール・ミストリーさんが、パキスタンのカラチ市内の路上で正体不明の銃撃手に暗殺されました。

犯人は今も特定されていませんが、映画ではインド側の工作員による隠密報復の一環として描かれています。

2023年4月:アティク・アーメドさんの射殺

インドのウッタル・プラデーシュ州でギャングとしても知られていたアティク・アーメドさんが、警察の護送中にメディアのカメラの前で射殺されました。

映画では「アティフ・アーメド」として登場し、ISIとインド国内のテロネットワークをつなぐ人物として描かれています。

映画『ドゥランダル作戦』と実話の違い

映画は実際の事件や人物をベースにしていますが、エンターテインメントとして再構成するために史実から大きく外れた部分も数多くあります。

主な違いを比較表でまとめます。

項目映画での描写実際の事実
ドゥランダル作戦インド国家安全保障局が承認した長期潜入工作存在しない。公式に認められた作戦記録はない
レーマーン・ダカイトISIや国際テロ組織と結びつく武器密輸の黒幕カラチ一地区のギャング首領。国際テロとの直接連携はない
チャウダリー・アスラムの死インド工作員の策略に敗れて暗殺されるTTPによる車両爆破テロで殉職(2014年1月9日)
デモネタイゼーション(2016年)ISIが仕掛けた数千億ルピーの偽札作戦を一瞬で無効化国内の不正資金対策として実施。対パキスタン電撃戦としての記録はない
アティク・アーメドの死ISIとの共謀が暴かれ、暗殺でテロネットワークが崩壊国内のギャング抗争の一環。ISIとの直接共謀での起訴なし

「ドゥランダル作戦」は実在しない

映画の核心となる「ドゥランダル作戦」は、架空の極秘作戦です。

ただし、インドの情報機関R&AWが過去にパキスタン国内に潜入工作員を送り込んでいたとされる事例はいくつか存在します。

映画のリサーチコンサルタントを務めたジャーナリストのアディティヤ・ラージ・カウルさんは、

そういった複数の実在した工作員エピソードを参考にしたと語っています。

レーマーン・ダカイトの実像は「地域のマフィア」だった

映画でアクシャイ・カンナーさんが演じるレーマーン・ダカイトは、ISIや国際テロ組織と手を結ぶ大物として描かれています。

しかし実際のレーマーン・ダカイトさんは、カラチのリヤリ地区における麻薬密輸・恐喝・誘拐を主な収益源とする地域マフィアでした。

国際的なテロ組織との明確な連携は確認されておらず、

競合するギャング組織との局地的な抗争に終始していたとされています。

さらに年齢や家族構成も大幅に変えられています。

実際のレーマーン・ダカイトさんは亡くなったとき29歳で、3人の妻と15人の子供を持っていましたが、

映画ではより年長の人物として描かれ、妻1人・子供2人に整理されているのです。

チャウダリー・アスラムさんの死因は映画と全く違う

映画でサンジャイ・ダットさんが演じるチャウダリー・アスラム警視は、インド工作員の正体に気づきながらも策略に敗れて暗殺されます。

しかし実際のチャウダリー・アスラムさんが亡くなったのは、2014年1月9日にTTP(パキスタン・タリバン)が仕掛けた自爆テロによるものです。

9回もの暗殺未遂を乗り越えながらテロ組織と戦い続けた人物で、

映画の描き方はアスラムさんを「インド工作員に出し抜かれた警察官」として見せる構図になっており、

実際の業績とは正反対の印象を与えているとの批判もあります。

デモネタイゼーション(通貨の無効化)は対パキスタン作戦ではなかった

映画では、ISIがウッタル・プラデーシュ州の選挙に介入しようとして6,000億ルピー規模の偽札を準備していたところを、

デモネタイゼーション(通貨の無効化)で一瞬にして紙くずにしてしまうという痛快な展開が描かれます。

しかし実際のデモネタイゼーションは、インド国内の不正資金対策として実施された国内政策です。

パキスタンへの電撃的な対抗手段として計画・実行されたという公式記録は存在しません。

監督・キャストの舞台裏エピソード

失読症を乗り越えたアディティヤ・ダール監督の執念

監督のアディティヤ・ダールさんは、少年時代に重度の失読症(ディスレクシア)に苦しんだという異色の経歴の持ち主です。

文字を読むことが困難だったダールさんは、演劇や音楽といったストーリーテリングの世界に没頭することで自分の道を切り開いていきました。

映画界に移ってからも、デビュー作の監督話が頓挫したり、共同執筆した脚本のクレジットが認められなかったりと多くの困難に直面しています。

それでも『URIサージカル・ストライク』で大成功を収めたダールさんは、『ドゥランダル作戦』では爆発シーンにCGを使わず実際の火薬での撮影を断行。

チームの全員が毎日16〜18時間連続で働き続けたのだそうです。

「バカになったのか?」から始まったレーマーン役のキャスティング

キャスティングディレクターのムケーシュ・チャブラさんがレーマーン役にアクシャイ・カンナーさんを推薦したとき、

ダール監督は「正気か!」と笑い飛ばしたそうです。

実際にカンナーさんにオファーを持ちかけると、第一声は

「お前、バカになったのか?」

という激しい拒絶でした。

しかしカンナーさんは4時間に及ぶ台本の朗読を最後まで聞き終えると、「これはすごい。やろう」と即決します。

以後は一切の露出を避けながら独自に役を作り込み、不気味なオーラを持つレーマーン像を完成させたのです。

またパキスタン側の副警視を演じたアディティヤ・ウッパルさんは、8年間の下積みを経て本作でブレイクを果たします。

しかしあまりにリアルな演技が話題を呼んだため、映画と現実の区別がつかなくなった一部の観客から私生活への脅迫を受けたとも明かしています。

遺族からの複雑な声

チャウダリー・アスラムさんの妻、ノーリーン・アスラムさんは、映画公開後に複数のメディアを通じて複雑な胸の内を語っています。

ノーリーンさんは夫について、

「夫は生前から『俺の死後、いつか必ず俺の映画が作られるだろう』と言っていました」

と語っており、映画化そのものは夫が望んでいたことだったと振り返っています。

サンジャイ・ダットさんの演技については、

「車のかたわらに立ち、スッと目を上げる瞬間のサンジャイの眼光は、

本当にアスラムそのものであり、息を呑むほど似ていました」

と高く評価しつつも、映画の描き方には明確な不満も示しています。

「もし映画を作るのであれば、私や彼の同僚の警察関係者、

あるいは生前の彼を直接取材したジャーナリストたちに一度相談すべきでした。

映画の中の彼は、単に騙され罠にかけられたように見え、

彼の真のプロフェッショナリズムが矮小化されています」

さらにノーリーンさんは、予告編で夫が「魔物と悪魔の交わりから生まれた子供」と形容されていることに対しても強い不快感を示しており、

当初は法的措置まで検討していたと明かしています。

映画『ドゥランダル作戦』の社会的反響と論争

『ドゥランダル作戦』はインド国内で爆発的なヒットを記録した一方で、その強烈な愛国主義的トーンをめぐって批評家からの厳しい評価も集めました。

Hotmailの共同創業者サビール・バティアさんは自身のInstagramで、

「この映画が社会に振りまいているのは、単なる復讐の連鎖と憎悪のメッセージにすぎない。

国や組織全体を単純な悪として一括りにするのをやめるべきだ」

と痛烈に批判しています。

映画批評家のアヌパマ・チョプラさんがYouTubeに投稿した批判的なレビューは、

熱狂的なファンからの凄まじいオンラインハラスメントにさらされ、最終的に動画の削除に追い込まれました。

中東の湾岸協力会議(GCC)加盟国の複数の国では、政治的・宗教的な内容を理由に上映禁止措置も取られています。

一方で、映画のリサーチコンサルタントを務めたジャーナリストのアディティヤ・ラージ・カウルさんは本作の意義についてこう語っています。

「ボリウッドにおける従来のスパイのロマンチックな恋愛映画の時代は終わった。

現代の観客が求めているのは、大スクリーンで描かれる未解明のインテリジェンスの現実なのです」

好評・批判の双方を巻き込みながら、『ドゥランダル作戦』がインド映画界に

「超リアル志向スパイ映画」という新たなジャンルを切り拓いたのは間違いないでしょう。

まとめと人気の実話解説記事

  • 『ドゥランダル作戦』は実際のテロ事件や実在の人物をモデルにした作品だった
  • 「ドゥランダル作戦」そのものは架空の設定で、実在する極秘作戦ではなかった
  • レーマーン・ダカイトは実在したが、国際テロではなく地域の麻薬・恐喝ギャングだった
  • チャウダリー・アスラムさんの死因は映画と全く異なり、TTPによる自爆テロでの殉職だった
  • アスラムさんの妻ノーリーンさんは、夫の映画での描かれ方に強い不満と批判を示していた
  • 愛国主義的な内容が批評家の批判を呼び、中東複数国で上映禁止措置が取られている

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