映画『マリと子犬の物語』では、母犬マリが飼い主を助け、子犬を守り抜いたエピソードは多くの人に感動を与えました。
この記事では、
- 『マリと子犬の物語』は実話なのか
- 実際にあった出来事の時系列
- 映画版との違い
- モデルとなったマリのその後
こちらを解説していきます。
『マリと子犬の物語』は実話?
『マリと子犬の物語』は、2004年10月23日に発生した新潟県中越地震での実際のエピソードをもとにした実話作品です。
モデルとなったのは、新潟県山古志村(現在の長岡市山古志地域)に住んでいた五十嵐家と、飼い犬マリの物語でした。
原作となったのは、2005年に出版された絵本『山古志村のマリと三匹の子犬』です。
実際に飼い主から話を聞いた内容をもとに制作され、大きな反響を呼びました。
映画版ではドラマ演出のために設定変更もありますが、「母犬が飼い主と子犬を守り抜いた」という主要の部分は実話です。
『マリと子犬の物語』実話の時系列
2001年:マリが五十嵐家で生まれる
飼い犬のマリは2001年、新潟県山古志村の五十嵐家で生まれました。
兄弟犬は他の家庭へ引き取られていきましたが、マリは人見知りで臆病な性格だったため、そのまま五十嵐家で飼われることになります。
五十嵐家は、山古志支所に勤める五十嵐豊さんと、介護が必要だった父・高繁さんの2人暮らしでした。
高繁さんは病気で身体が不自由でしたが、マリと暮らすことで気持ちが前向きになっていったと言われています。
2004年10月23日朝:マリが子犬を出産
2004年10月23日の朝、マリは3匹の子犬を出産しました。
五十嵐豊さんは出産を見届けた後、仕事へ向かいます。
しかしその日の午後5時56分、新潟県中越地震が発生しました。
山古志村では震度6強を記録し、大規模な土砂崩れが発生します。
自宅2階にいた高繁さんは、倒れてきたタンスの下敷きになって動けなくなってしまいました。
マリが飼い主を救出
停電で真っ暗になった家の中で、マリは鎖を引きちぎって高繁さんのもとへ向かいました。
ガラスの破片で足から血を流しながらも、高繁さんの顔を何度も舐め続けたとそうです。
その励ましもあり、高繁さんは2時間以上かけてタンスの下から脱出しました。
その後、子犬たちの様子を確認すると、生まれたばかりの3匹は全員無事でした。
全村避難でマリたちは取り残される
地震翌日、孤立した山古志村には自衛隊のヘリコプターが到着しました。
しかし当時は、避難ヘリに犬を乗せることができず、マリと子犬たちは自宅に残されることになります。
避難した高繁さんは、避難先でも「マリは大丈夫か」と何度も心配していたそうです。
震災から16日後:奇跡の再会
地震発生から16日後、一時帰宅が許された家族は自宅へ戻りました。
そこで発見されたのが、瓦礫の中でも子犬たちを守り続けていたマリでした。
子犬たちは元気な状態でしたが、マリはひどく痩せていました。
さらに、ほとんど中身のないスナック菓子の袋を土に埋めようとしていた姿も目撃されています。
これは、少しでも食料を確保しようとしていた行動ではないかと言われています。
五十嵐豊さんは後に、
「自分の子どもも、おやじも守ろうとしていたのだと思う」
と振り返っています。
マリのその後
震災後、マリは全国的に有名な存在となりました。
『マリと子犬の物語』が公開されると、多くの人が山古志にいるマリに会いに訪れたそうです。
「山古志のマリへ」とだけ書かれた手紙やはがきが届くこともありました。
しかし、マリ自身も地震による大きな精神的ダメージを受けていました。
PTSDの症状が見られ、怯える様子や、側溝を飛び越えられなくなるなどの変化があったと言われています。
飼い主の高繁さんは2014年に80歳で死去しました。
そしてマリも、2016年6月10日に15歳で亡くなりました。
2017年:マリの記念碑が建立
2017年10月23日、山古志にはマリを讃える記念碑と犬小屋が設置されました。
地震発生から13年後のことでした。
また、2018年時点では、マリの子孫にあたる「ポチ」が五十嵐家で飼われていたことも報じられています。
『マリと子犬の物語』と実話の違い
| 項目 | 実話 | 映画版 |
|---|---|---|
| 家族名 | 五十嵐家 | 石川家 |
| 家族構成 | 父子2人暮らし | 4人家族 |
| マリの出自 | 五十嵐家で生まれた | 捨て犬を拾った設定 |
| 犬種 | 雑種 | 柴犬 |
| 子犬の出産 | 地震当日の朝 | 地震翌年 |
| 飼い主の職業 | 山古志支所職員 | 村役場職員 |
映画では、より感情移入しやすいように家族構成などが変更されています。
特に子どもたちを登場させたことで、「家族愛」や「兄妹の絆」がより強調される形になりました。
また、実際のマリは雑種犬でしたが、映画では日本人になじみ深い柴犬として描かれています。
なぜ映画では設定変更されたのか
映画版では、実話をベースにしながらもドラマ作品として再構成されています。
例えば、
- 子ども視点を入れるため4人家族に変更
- マリとの出会いを感動的にするため拾い犬設定へ変更
- ストーリー性を高めるため出産時期を変更
といった演出が加えられました。
ただし、「被災地で母犬が家族と子犬を守り抜いた」という本質部分は、実際にあった出来事です。
まとめと人気の実話解説記事
- 『マリと子犬の物語』は2004年の新潟県中越地震をもとにした実話
- モデルは山古志村の五十嵐家と飼い犬マリ
- マリは地震直後に飼い主を励まし救出を助けた
- 全村避難で取り残されながらも16日間子犬を守り抜いた
- 映画版では家族構成や犬種などが変更されている
- 実際のマリは2016年に15歳で亡くなっている