定時制高校の生徒たちが、理科の先生とともに宇宙の研究に挑む物語、『宙わたる教室』。
伊与原新さんが書いた小説が原作で、2024年にはNHKでドラマ化された作品です。
この記事では、
- 『宙わたる教室』が実話かどうか
- モデルとなった実際の学校と教師
- 実話の経緯(何が起きたか)
- ドラマ・小説と実話の違い
- 著者・伊与原新さんがこの話と出会ったきっかけ
こちらを解説していきます。
『宙わたる教室』は実話を元ネタにした作品
結論からいうと、『宙わたる教室』は実話をもとにしたフィクションです。
完全なノンフィクションではありませんが、
実際に大阪府の定時制高校の科学部が学会で優秀賞を受賞し、日本の宇宙探査機「はやぶさ2」の研究にも貢献した
という出来事が元ネタになっています。
原作小説は伊与原新さんが執筆し、2023年10月に文藝春秋から刊行されました。
NHKでは「ドラマ10 宙わたる教室」として2024年10月8日から放送が始まり、主演は窪田正孝さんが務めました。
モデルとなった定時制高校と教師たち
モデルの学校(実在する)
| 高校名 | 所在地 |
|---|---|
| 大阪府立大手前高等学校定時制 | 大阪市 |
| 大阪府立春日丘高等学校定時制 | 茨木市 |
| 大阪府立今宮工科高等学校定時制 | 大阪市 |
これらは全て実在する大阪府の定時制高校です。
ドラマでは「東新宿高校定時制」という東京・新宿の架空の学校に変更されていますが、元ネタとなったのは大阪の学校になります。
モデルとなった教師(実在する)
| 人物 | 肩書き |
|---|---|
| 久好圭治さん | 大阪大学特任研究員 |
| 谷口真基さん | 今宮工科高等学校定時制教諭 |
| 江菅純一さん | 月の木高等学校教諭 |
ドラマの主人公・藤竹叶は、上記の複数の実在する教師たちを合わせた架空のキャラクターです。
特定の一人だけをモデルにしたわけではなく、それぞれの教師さんの特徴が組み合わさって生まれたキャラクターなのです。
『宙わたる教室』の実話の時系列
2017年:定時制科学部が学会で優秀賞を受賞
2017年、大阪府立の定時制高校(大手前高校定時制・春日丘高校定時制)の科学部が、
日本地球惑星科学連合大会の「高校生によるポスター発表」で優秀賞を受賞しました。
研究テーマは
「重力可変装置で火星表層の水の流れを解析する」
というもの。
定時制の生徒たちが、火星という宇宙規模のテーマに取り組み、高い評価を受けたことが大きな話題となりました。
はやぶさ2の研究に採用される
この定時制高校の科学部の研究が、東京大学の橘省吾教授の目にとまります。
橘さんは「はやぶさ2」のサンプラーホーン(小惑星のサンプルを採取する装置)の開発を手がけていた研究者です。
定時制科学部のアイデアがはやぶさ2に向けた基礎実験のヒントとして採用され、
学会発表論文「はやぶさ2サンプラーホーンを用いた小惑星表面試料採取に向けた基礎実験」には
「春日丘高校定時制科学部」の名前が掲載されました。
定時制高校の科学部が、日本の宇宙探査プロジェクトに実際に貢献したわけです。
2023年:小説『宙わたる教室』刊行
定時制科学部の物語に感銘を受けた伊与原新さんが、この実話をもとにした小説『宙わたる教室』を執筆。
2023年10月に文藝春秋から出版されました。
2024年:NHKドラマ化
2024年10月8日から、NHKで「ドラマ10 宙わたる教室」として放送がスタートしました。
窪田正孝さんが理科教師・藤竹叶を演じ、大きな反響を呼びました。
ドラマ『宙わたる教室』と実話の違い
| 項目 | 実話 | ドラマ・小説 |
|---|---|---|
| 舞台の学校 | 大阪府立の定時制高校(複数) | 東新宿高校定時制(東京・新宿/架空) |
| 主人公教師 | 3人の実在する教師が協力 | 藤竹叶という一人の架空の人物 |
| 生徒たち | 実際の定時制生徒 | 年齢・事情が異なる複数の架空キャラクター |
| 研究テーマ | 火星表層の水の流れの解析 | 火星のクレーター再現実験 |
| 学会発表 | 2017年・日本地球惑星科学連合大会で優秀賞 | ドラマのクライマックスとして描かれる |
| はやぶさ2との関係 | 実際に研究が採用された | ドラマでも重要な展開として描かれる |
舞台が大阪から東京に変わっている
実際に出来事が起きたのは大阪府の定時制高校ですが、
ドラマでは東京・新宿にある「東新宿高校定時制」という架空の学校に変更されています。
より多くの視聴者が親しみやすいよう、舞台が首都圏に設定されたのでしょう。
複数の教師が1人のキャラクターに集約されている
実際の出来事には3人の実在する教師さんが関わっていましたが、
ドラマでは「藤竹叶」という一人の教師キャラクターとしてまとめられています。
実話を一本のドラマとして描くために、複数の人物が一人に整理されたわけです。
研究テーマは似ているが内容が異なる
実話の研究テーマは「火星表層の水の流れの解析」でしたが、ドラマでは「火星のクレーター再現実験」に変更されています。
ただし、どちらも火星をテーマにした研究という点では同じで、
着想の根っこにあるものは実話と共通しています。
著者・伊与原新さんがこの話と出会ったきっかけ
伊与原新さん自身が、大学で地球惑星科学を専攻していたという経緯があります。
そのため、学生時代にお世話になった教授から
「定時制高校の科学部が学会で優秀賞を取った」
という話を聞いたとき、深く心を揺さぶられたのだそうです。
「定時制の生徒たちが宇宙の研究をして、しかもはやぶさ2にまで関わった」
というエピソードが伊与原さんの心に刺さり、小説の着想へとつながりました。
著者自身の専門分野と、実話のテーマがぴったり重なったことで、この物語は生まれたのです。
まとめと人気の実話解説記事
- 『宙わたる教室』は大阪府の定時制高校科学部の実話をもとにしたフィクション
- 2017年に定時制高校の科学部が日本地球惑星科学連合大会で優秀賞を受賞したのは実際の出来事
- 科学部の研究がはやぶさ2の基礎実験に採用されたことも実話
- 舞台は大阪から東京・新宿に変更され、登場人物はすべて架空のキャラクター
- 主人公・藤竹叶は3人の実在する教師さんをまとめた架空の人物
- 著者の伊与原新さん自身も地球惑星科学出身で、この実話に深く共鳴して執筆した